ご祝儀の熨斗袋で大失敗。その後・・・・・

今、思い出しても冷や汗が出てくるような失敗を、招待された結婚式でしてしまったことがあります。それは、社会人になって2年目の春、職場の先輩の結婚式でのできごとでした。 子どものころに親類の結婚式に出たことはありましたが、成人してからは、そのときが初めて。その先輩は入社以来一番お世話になっている方で、招待されたときは感激しましたし、「自分も社会人の仲間入りができた」という喜びを感じたものです。 スーツも新調し、張り切って披露宴会場のホテルへ行きました。ホテルの入り口で上司といっしょになり、2人で会場へ。受付のところで、上司と並んで芳名録に記帳し、ご祝儀袋を渡しました。

すると、隣りにいた上司が、びっくりしたような顔をして私を見ました。そして私は、上司に袖を引かれて、人のいないところまで連れて行かれたのです。いったい何事が起こったのか、まったくわかりません。

すると上司は「おい、あの祝儀袋はまずいよ。熨斗が蝶結びになっていただろ? 結婚式の時は『結びきり』という形の熨斗を使うのが常識。結婚は人生で1度きりのこと、という前提があるから、熨斗はほどけない結び方にしなきゃいけないんだ。蝶結びはかんたんにほどけるから、結婚式では縁起が悪い」。 大ショックでした。恥ずかしいことに、そのときまで私はご祝儀袋に種類があることも知らず、「熨斗」についてもまったく無知だったのです。ですから、何も考えずに文具店でおめでたそうな袋を買って、それにご祝儀を入れて渡したのでした。 渡してしまったのですから、もう取り返しがつきません。披露宴の間中、頭の中は熨斗袋のことでいっぱい、せっかくの料理もまったく味がしません。社会人となって最初の結婚式が最悪のものになってしまったのです。

上司は「あとで、本人に謝っておいたほうがいいだろう。彼はそんなことを気にしないだろうけど、ご両親や親族の中には嫌な気持ちになる人もいるかもしれないからな」とアドバイスしてくれました。 後日、その先輩に謝りましたが、先輩は「そんなこと、気にしないでいいよ」と笑ってくれました。それで、ホッと胸をなでおろしたのですが、6年後にふたたび、胸を痛めるできごとが起こってしまったのです。

それは、その先輩の離婚です。先輩が離婚するという話を聞いたとき、私は凍りついてしまいました。「自分があんな縁起の悪いご祝儀を贈ったから」という意識が、どうしても浮かんでしまうのです。もちろん、そんなことはまったく無関係でしょうが、どうにも気がとがめてなりませんでした。 思い出すたびに冷や汗が出てくる失敗談です。